2022年10/18
宮城

古川黎明高等学校

宮城県大崎市

 2022年10月18日、古川黎明高校で復興庁の由良英雄統括官による
出前授業「東日本大震災からの復興と風評の影響」が行われました。
講座には学校の募集に応じた1~3年生17人が参加しました。

【授業を受けた生徒たちの声を紹介します】

  • 風評被害について知るきっかけになっ
    た。問題をより身近なものと感じるこ
    とができた。

    本田悠一朗さん

  • 原発事故から10年以上がたつ今も
    輸入規制をしている国があると知って驚いた。

    橋口瑞紀さん

  • 国内はもちろん、海外でも福島の
    安全でおいしいものについてもっと
    知ってほしい。

    白岳航佑さん

  • 数字を示すことが食の安全性を広く
    認識してもらうことに役立つと分かった。

    井上弥香さん

【東日本大震災からの復興】

 参加した生徒は震災発生当時まだ未就学。復興庁の由良英雄統括官がスライドで岩手、宮城、福島3県の津波被害の程度、産業への影響について説明しました。福島第1原子力発電所(以下、原発)への津波襲来や電源喪失といった事故発生の推移を詳細な時間を示しながら振り返りました。
 由良さんは、放射性物質で汚染された土壌を除去して田んぼに一時保存した写真と、除去土が撤去されて稲作が再開した同じ田んぼの写真を並べ、復興に向けた確実な歩みの実例を示しました。住民の生活やインフラの復興が大きく前進する一方で、営農再開や漁業の復興を進める必要があり、観光については「コロナ禍もあり、さらなる立て直しが必要」と述べました。

【原子力発電所の廃炉に向けた取り組み】

 原発事故では放射性物質が広く大気中に放出されたことで、妊婦や子ども、若年層の健康被害への懸念が広がりました。由良さんは被害状況や放射線量の推移、原発周辺の12市町村の避難状況などについて具体的な数字やグラフを使って解説し、「放射線が原因で体調不良になった人は出ていないと評価されている」と説明。そして「復興には原発の廃炉が不可欠だ」と強調しました。
 原発では日々、事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)の冷却などで生じる水から放射性物質を取り除く浄化処理が行われています。由良さんは「ALPS処理水」を保管するタンクが、原発の敷地内に数多く並んだ写真を示し、「廃炉を進めるにはタンクをなくすことが必要」と話しました。浄化処理によってトリチウム以外の放射性物質は規制基準値以下に下がり、ALPS処理水を海に放出しても健康被害を招く恐れはないとする専門家の意見を紹介しました。

【風評影響について】

 原発事故の直後には福島県を中心に東日本で生産された農林水産物に対して国内外で買い控えが起こるなどの風評被害が発生しました。生産者らがモニタリング検査を行うなどした努力が実り、徐々に払しょくされてきましたが、今なお福島県産品に対する偏見は残っており、処理水放出後に再燃することが懸念されます。
 由良さんは「検査の数値を示すことで安心して購入してもらえるよう取り組んでいく」と説明。また「国内外に情報を発信して、風評がぶり返さないよう粘り強く説明と対話を続けていく」との姿勢を示しました。生徒はメモを取りながら、話に聞き入りました。風評被害の払しょくや今後の復興に向けた意見交換を行うワークショップでは、「自分たちもSNSで食の安全性を発信したい」「数字やデータに基づく正しい情報を得ることが大事だと感じた」などの意見が出ました。
 由良さんは「生徒は災害や風評の問題について自分事としてしっかりと意見を持っていると感じた」と感想を述べました。被災地からの距離で安全性の感じ方には地域差、個人差が生じやすいとし、「リスクコミュニケーションには自分の尺度を持つことが大事。この授業が関心を持ってさらに調べる、そして考えるきっかけになればうれしい」と締めくくりました。

2022年10月19日付 河北新報に掲載

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