2023年7月30日~8月31日に開催されました!

大会レポート公開

釣って、食べて
福島の海の魅力を実感

福島の豊かな海の魅力や「常磐もの」と呼ばれる福島の水産物のおいしさ、安全性を知ってもらおうと、7月30日~8月31日の間、福島県新地町の「新地町海釣り公園」で「わくわくドキドキ!大物を狙え!ふくしま夏休み海釣り大会」が開催されました。東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所事故からの復興応援を目的として開催されたこの大会、期間中に約1500人もの人が海釣り公園を訪れ、〝大物〟を狙い、釣果を競いました。

また、大会開幕前日の7月29日には、オープニングイベントとして「釣って、さばいて、食べよう! ふくしま親子海釣り大会」が開かれ、参加した親子は、家族対抗の釣り大会のほか、「常磐もの」のワラサをさばいて味わう料理教室やゲストによるトークショー&クイズ大会を楽しみました。8月22日にも、親子で大会に参加し「常磐もの」のヒラメをさばいて、味わう体験イベントを実施。イベント参加者は釣って、食べて、福島の海の魅力を実感しました。

【オープニングイベントの様子はこちら】

大会期間中、新地町海釣り公園には多くの人が訪れました

102㌢ダツ、48㌢クロダイ、64㌢ヒラメ
大物が続々

「最初は何が釣れたのかまったく分かりませんでした。周りも何だ、何だと大騒ぎになりました」。こう興奮気味に語るのは、102㌢のダツを釣り上げ、上層部門で1位に輝いた水戸市の滑川薫さん(51歳)。ダツはサンマやサヨリなどと同じ仲間で細長い体が特徴。滑川さんは釣り具店に勤める釣りのベテランですが、釣り上げたのは初めてとのこと。「とにかくビックリ。たくさんの魚種が釣れる釣り場だとは知っていましたが、改めて福島の海には多様な魚がいるのだと実感できました」。

ダツを釣り上げ上層部門の1位となった滑川薫さん

ブリ、カンパチ、クロダイ、ヒラメなど多様な魚がエントリーされた

大会会場の「新地町海釣り公園」は、2011年の東日本大震災の津波で大きな被害を受けましたが、釣り場を大幅に拡張し19年に再開されました。近くにある火力発電所で冷却用に使われた1~2度ほど温度が高い温海水が渦潮のように流れ込み、そこに多くの魚が集まってきます。小魚を追ってブリやカンパチ、ヒラマサなどの大型回遊魚がやって来るほか、クロダイやイシダイ、ヒラメなどが根付いて大きく育つため、〝大物〟が狙える釣り場として人気があります。新地町観光協会海釣り公園事業リーダーの目黒淳さんは「『常磐もの』は、季節ごとにたくさんの種類の魚が獲れるということを象徴するような釣り場」と、その魅力を語ります。

「常磐もの」
は脂がのって旨味が濃い!
食べても絶品

もちろん、「常磐もの」は食べても絶品です。親子部門で1位となった宮城県名取市の木村林伯さん(50歳)と嘉伯さん(19歳)の親子は、40㌢のヒラメを釣り上げ、刺し身で味わったそうです。林伯さんは「船釣りではなく、陸釣りでヒラメが釣れるところはめったにない。常磐もののヒラメは脂ののりが良く、うま味が濃くておいしかったです」と、絶賛していました。

親子部門1位に輝いた木村嘉伯さん

親子部門の2位に入った添田葵さん

親子部門で3位になった工藤柊哉君

福島県内の方はもちろん、県外からも多くの人が新地町海釣り公園を訪れ、釣果を競いました

親子部門で3位に入った名取市の工藤敦司さん(47歳)と柊哉君(11歳)の親子は、入賞した29㌢のカンパチのほか、シマアジとベラを釣り上げ、塩焼きで食べ比べたとのこと。柊哉君は「思ったより引きが強かった。シマアジが一番おいしかったです」と、大喜びでした。敦司さんは「検査もしっかり行われているので、安全性への不安はありません」と話してくれました。中層部門で48㌢のクロダイを釣り上げ1位となった名取市の岩﨑慶之さん(39歳)は、近所の人にもお裾分けして海の恵みを楽しんだそうです。「福島や地元の宮城の海では、おいしくて安心、安全な魚がたくさん取れます。もっと多くの人に食べて、訪れてほしい」と話していました。

「常磐もの」はなぜ美味しい?
親潮と黒潮がぶつかる
〝潮目の海〟

日本の太平洋側を北から流れる寒流の親潮と、南から流れる暖流の黒潮が出合う福島県沖は、〝潮目の海〟と呼ばれる日本有数の漁場です。そこで獲れる魚は「常磐もの」と呼ばれ、古くから東京・築地市場で高く評価されてきました。水温は冷たいものの、たくさんの栄養を含んでいる親潮と、水温は温かいものの、栄養は乏しい黒潮が混ざり合うと、そこに豊富なプランクトンがわきます。プランクトンをエサに小魚が育ち、それを食べる大きな魚も集まってきます。豊かな海で育まれた「常磐もの」は、魚の種類が豊富で、身が引き締まり、脂ののりが良いのが特徴です。

「常磐もの」の代表格であるヒラメの薄造とエンガワ

ヒラメのカルパッチョ

【大会入賞者】

大会は、期間中に海釣り公園で釣った魚の大きさを競う方式で開催されました。魚種ごとの上層、中層、底物と、魚種は問わない親子部門の4部門を設け、入賞者には、ヒラメやノドグロの刺し身、うに貝焼き、福島牛の豪華な福島県産食材セットが送られました。

親子部門

  • 第1位
    木村林伯さん(宮城県)ヒラメ40㌢
  • 第2位
    添田葵さん(福島県)カンパチ35㌢
  • 第3位
    工藤柊哉さん(宮城県)カンパチ29㌢

上物部門

  • 第1位
    滑川薫さん(茨城県)ダツ102㌢
  • 第2位
    岩永篤さん(福島県)ブリ82㌢
  • 第3位
    佐藤優一郎さん(福島県)ブリ75㌢

中層部門

  • 第1位
    志賀瑛太さん(福島県)クロダイ48㌢
  • 第1位
    岩﨑慶之さん(宮城県)クロダイ48㌢
  • 第3位
    中島未来さん(福島県)クロダイ47㌢

底物部門

  • 第1位
    志賀翼さん(福島県)ヒラメ64㌢
  • 第2位
    佐藤柊也さん(福島県)クロソイ43㌢
  • 第3位
    三浦泰さん(福島県)マゴチ41㌢

「常磐もの」のおいしさと
安全性を知る
さばいて、食べる料理教室も

オープニングイベント
「釣って、さばいて、食べよう!ふくしま親子海釣り大会」

家族対抗釣り大会

大会開幕前日の7月29日に開かれたオープニングイベント「釣って、さばいて、食べよう! ふくしま親子海釣り大会」には、県内外から19組52人が参加しました。家族対抗で競う釣り大会では、神奈川県から参加した赤間孝さん(40歳)の家族が、終了1分前に33㌢のサヨリを釣り上げ優勝しました。大会ナビゲーターを務めた2代目アングラーズアイドルのそらなさゆりさんによる、投げサビキ釣りのデモンストレーションや、そらなさんと、〝魚の伝道師〟として活動する「ウエカツ」こと上田勝彦さんによる釣り対決も行われました。

サヨリを釣り上げ優勝した赤間さん家族

カンパチを釣り上げた親子

投げサビキ釣りをレクチャーするそらなさゆりさん

釣り対決をする上田勝彦さんとそらなさゆりさん

お魚料理教室

大会後は、上田勝彦さんが講師を務め、「ウエカツ流目からウロコのお魚料理教室」が行われました。食材として用意したのは、ブリの子供のワラサ。上田さんが、きれいに三枚におろすのではなく、骨にタップリと身を残し、素人でも大きな魚をさばける〝大名おろし〟を披露。大分県の郷土料理である刺し身の漬けの「りゅうきゅう」と、身の付いた骨やカマなどをおいしく食べられる「湯煮」の作り方を伝授しました。また、「釣りで使う結び方教室」も行われました。

さばき方を教える上田勝彦さん

刺し身を漬け込み、すりゴマを和えた「りゅうきゅう」

「りゅうきゅう」と「湯煮」を食べる子供たち

釣りで使う結び方教室に参加した親子

トークショー&クイズ大会

福島の海の魅力を語るトークショーも行われました。「常磐もの」がおいしい理由やヒラメとカレイの見分け方、安全性を確保するための放射性物質検査の方法などについて、クイズを交えながら、軽快なトークが繰り広げられました。福島県相馬市の魚仲卸事業者の飯塚哲生さんは「福島では水揚げごとに毎日、全魚種の検査を行っています。これからも安心、安全でおいしい魚をお届けしていきたい」と述べました。いわき市で鮮魚店を営む大川勝正さんも「しっかりとした検査も行われているので安全性には自信をもっています」と話しました。上田さんは「風評は本当のことを知る努力を怠ったときに起きます。自分で知って学ぶ機会にしてほしい」と呼びかけました。
最後に家族対抗釣り大会の表彰式も行われ、1位から3位の入賞者には豪華な福島県産食材セットの賞品目録ボードが贈られました。優勝した赤間さんは「最後の一投で、帰り支度をしようと巻いたら、かかりました」と説明。瑚虎君(11歳)は「最後の最後に釣れて、ものすごくうれしかった」と大喜びでした。

イベントを終えた参加者からはこんな声が聞かれました。

「お魚の臭みがまったくないのに驚いた。とてもおいしく、家でも挑戦したいと思いました」
「福島の豊かな自然に触れることができ、家族でまた福島を訪れたいと思いました」
「地元の人たちが今も検査を続けるなど、安心、安全のために頑張っていることを知ることができました」

ふくしまの海の魅力を語る登壇者

クイズを出題するそらなさゆりさん

クイズに答えながら学ぶ参加者

1~3位の入賞者には豪華な福島県産食材セットの目録が贈られました

オープニングイベントの
様子はこちらから

大会参加体験イベント
「常磐ものを釣って、
さばいて、食べよう!」

8月22日には、親子で大会に参加し、料理教室で福島県産のヒラメをさばいて味わうイベント「常磐ものを釣って、さばいて、食べよう!」が行われ、3組8人の親子が参加しました。宮城県名取市から父親の加藤圭さん、兄の陸君(13歳)とともに参加した結人君(9歳)は、シマアジを釣り上げ、「フグばっかりだったので、食べられる魚が釣れてよかった」と、大喜び。参加者はそらなさゆりさんの指導を受け、投げ釣りを習得するなど、釣りの楽しみを満喫しました。

福島県いわき市の和食店「かに船」の板前、石井勝さんによる料理教室も行われました。使用したのは前日に水揚げされたばかりの「常磐もの」のヒラメ。子供たちは石井さんの手ほどきを受けながら、ヒラメの5枚おろしや刺し身のそぎ切りに挑戦。「薄造りとエンガワ」「カルパッチョ」「ネギしょうゆ混ぜ」の3品を作りました。「分かりやすく教えてくれたので上手にさばけた。自分で作った料理は特においしい」と、加藤陸君。福島県桑折町から参加した家族の母親、早田園子さんは「福島のヒラメはモチモチとしていて、味も濃くてとてもおいしいです」。石井さんは「福島の魚はとてもおいしいし、毎日検査をしているので安全。もっともっと食べてほしい」と、呼びかけました。福島県郡山市から父親の宮嶋一樹さん、妹の香帆さん(9歳)とともに参加した利奈さん(12歳)は「ニュースで福島の海のことがいろいろと伝えられているときに、福島の魚のことを知ってもらえるイベントに参加できてとてもよかったです。漁師さんたちはとても大変だと聞いているので、たくさん食べて応援したい」と話してくれました。加藤圭さんは「風評に惑わされず、自分で体験し知ることの大切さを実感できました」と、イベントに参加した感想を語りました。

イベントに参加した姉妹とそらなさゆりさん

ヒラメの五枚おろしに挑戦する参加者

ヒラメのカルパッチョを盛り付ける子供たち

ヒラメ料理を味わう参加者

【実施概要】

主催

復興庁

運営

産経新聞社、つり人社

開催期間

2023年7月30日~8月31日

開催場所

「新地町海釣り公園」(福島県新地町)

実施方式

大会期間中に釣った魚の大きさを競い、順位を決定するターム方式

【観光情報】

新地町海釣り公園

釣り好きからビギナーの家族連れまで、安全かつ気軽に釣りがめる釣り公園。新地発電所から温海水が流れ込み、周辺よりも海水温が高く、季節ごとにたくさんの種類の魚が集まります。常磐自動車道新地ICから15分、JR常磐線駒ヶ嶺駅から10分と交通アクセスもよく、県内はもとより、仙台や首都圏からも多くの人が訪れます。

新地町海釣り公園公式サイト