Hand in Handreport.74

風評の払拭にむけて実際に現地に訪れて見たこと聞いたことを、分かりやすく伝えるレポートです。

インタビュー2024.03.29

浜通りをチャレンジの地に! 「HAMADOORI13」に結集した若者支援の輪

「鳥藤本店」の3代目・藤田大社長と諸橋沙夏さん

福島第一原発事故で一時全ての町民が避難を余儀なくされた福島県富岡町。事業存続の危機に陥りながらも、“食”で地域を支えてきた男性がいます。男性はこう語ります。

「若者がチャレンジするといえば浜通りだという状況になれるよう、地域が次の世代につながっていくようにしたい」

次の世代へバトンをつなぐことに情熱を注ごうとする男性が描く未来図とは?いわき市出身で、女性アイドルグループ「=LOVE(イコールラブ)」のメンバー・諸橋沙夏さんが話を聞きました。

福島県富岡町で鶏肉店や食堂として開業した「鳥藤本店」の3代目・藤田大社長(54)。東日本大震災による被害と原発事故に伴う避難生活で事業が窮地に陥ったものの、被災地で給食業務を手掛けるなどして事業を立て直し、2016年には復興の拠点となる大型複合施設「さくらモールとみおか」のフードコート内にラーメン店「浜鶏」を開店しました。鶏ガラを使った「浜鶏(はまど~り)ラーメン」を名物にして町外から人を呼び込み、富岡町の活性化に尽力しています。

そんな藤田さんには忘れられない記憶があります。当時の情景を思い浮かべながら語ってくれました。

当時の情景を思い浮かべながら語る藤田大社長と話を聞く諸橋沙夏さん

「さくらモールとみおかがオープンした年は、まだ富岡町で学校が再開していなかったんですよね。福島県内の別の町に仮の小中学校があったんですよ」

富岡町は原発事故で全域が警戒区域となり、およそ1万6,000人いた町民は県内外へ避難しました。町は2011年9月に約60km離れた福島県三春町に2園4校の合同仮設校舎を設けます。2017年の春に一部の避難指示が解除されても、しばらくは仮の校舎での授業が続いていました。そんな時、藤田さんの元に小学生からのインタビュー取材の機会が舞い込んできました。

「小学校5年生の子どもが取材に来てくれたんですよ。そのときに子どもが私へのあいさつで『僕たちは5年後、10年後、富岡の役に立ちたいと思っています。富岡がどのような状況だったのかを、将来、自分の言葉で話せるようにしたいです。今日はよろしくお願いします』と話してくれたんですよね」

小学生のあいさつを聞いて涙が止まらなかったと語る藤田大社長

藤田さんはその小学生のあいさつを聞いて涙が止まらなかったといいます。しゃべれないくらいに感情があふれたのと同時に、情熱が胸に沸いてきました。

「背中を押してもらえました。こういう子どもたちがいるんだったら、バトンを渡す人が必要だと」

先輩から後輩、親から子、これまでも様々なバトンが受け継がれてきた町。しかし2011年の原発事故で全ての住民が姿を消し、避難指示が解除されてもバトンを受け継ぐ相手が少なくなっているのを感じていました。地域にある「見えないバトン」を拾いまくって、次の世代に繋ぐことが自分の役目だと決意したのです。

その決意を形にしたのが「HAMADOORI13(はまどおりサーティーン)」という組織の設立でした。震災から10年が経とうとした2020年に、富岡町出身の藤田さんをはじめ、熱い気持ちを持った面々が浜通り各地から集まります。みなが、わが町のみならず浜通り13市町村が地域一体となって復興を進める必要性を感じていました。

HAMADOORI13のバッジ
HAMADOORI13のバッジ

諸橋さん「HAMADOORI13設立の狙いはどんなものだったんですか?」
藤田さん「震災から個別にみんなが頑張ってきました。ただ1人でできることには限界があるとみんなが感じていたんです。この地域を未来に繋いでいくためには若者の力が必要。若い人たちが連携して地域づくりを進めていけるように、友達の輪を大きくする組織が必要でした」

浜通りの市町村の枠を超えて連携したHAMADOORI13。中心となっている取り組みは起業する若者を支援する「HAMADOORIフェニックスプロジェクト」です。公益財団法人子ども未来支援財団のサポートを受けて、一つの事業に対して年間最大1千万円を最長3年間にわたって補助しています。

住民の帰還が進む地域での酒の醸造や古民家を活用したカフェなど、前例にとらわれない挑戦が確実に浜通りに芽吹いています。定期的に胸襟を開いて思いを共有する場を設け、意欲ある若者を後押ししているのです。

未来図を語る藤田大社長と諸橋沙夏さん

藤田さんがこの地で描く未来図とは―

藤田さん「民間が連携することで力が大きくなります。若者がチャレンジするといえば浜通りだという状況になれば、若い人も増えていくはずです。地域が次の世代につながっていくようにしたいと思っています」
諸橋さん「お話を聞いていて、藤田さん自身が色々夢を持っている方。(若い人たちは)夢を持っている人に憧れるから、自分も頑張ろうという気持ちになるんじゃないかと思います」

今後の決意を聞く諸橋沙夏さん

福島第一原子力発電所の廃炉作業などを食の面で支え、浜鶏ラーメンで地域を盛り上げようと全力疾走を続けてきた藤田さん。あふれんばかりの思いに多くの人々が共感し、復興の“先駆者”となって歩んでいるのが浜通りなのかもしれません。諸橋さんが今後の決意を聞いたところ、真っすぐな眼差しでこう答えました。

「やるぞ!って決意です。やるしかないっすよね」

浜通りで拾い集めた「見えないバトン」を、次の世代へ手渡すその時まで。54歳になった今も、藤田さんの情熱はいささかも失われていません。

PRESENT

2024年3月29日(金)放送分のプレゼントは、今回取材をさせていただいた「鳥藤本店」の「浜鶏ラーメン 3食入箱 生ラーメン」です。10名様にプレゼントします。
ご家庭で楽しめる浜通りの新定番「浜鶏ラーメン」は、2019JR東日本お土産グランプリ食品部門銀賞受賞商品。鶏の旨味を凝縮したスープにのど越しの良い縮れ中細麺がよく絡みます。浜通りをより活発に、という強い思いのこもったラーメンをぜひご賞味ください。

このページのトップにあるダイジェスト動画の中で、レポーターの諸橋沙夏さんが取材の感想として語った言葉が応募キーワードです。動画を視聴して、番組ホームページのメールフォームからご応募ください。

本商品は、TOKYO FMで放送中の「Hand in Hand」内で応募プレゼントとして紹介されているものです。
本サイトからの応募はできませんので、希望される方はこちらよりご応募ください。
なお、応募締切は2024年4月5日(金)となります。

ラジオ放送情報

「Hand in Hand」は、平日朝6時から生放送でお届けするラジオ番組「ONE MORNING」内で毎週金曜の朝8時10分ごろに放送。TOKYO FM/JFN36局ネットにてお聴きいただけます。番組を聴き逃した方は、ラジオ番組を無料で聴くことができるアプリ「radiko」のタイムフリーでお楽しみください。
※タイムフリーは、過去1週間以内に放送された番組を後から聴くことのできる機能です。

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