みやぎの未来をつくろうニュースみやぎの未来をつくろうニュース

宮城の皆さまに、
未来をつくる取組をご紹介します。

Vol.7|2016年12月22日

PDFはこちらPDF

東北のふるさと再生を目指して 故郷まちづくりナイン・タウン


東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県南三陸町。隣接する登米市は、以前より過疎化や高齢化による問題を抱えていました。
「特定非営利活動法人故郷まちづくりナイン・タウン」は震災を機に強い絆が生まれたふたつの地域において、新しいまちづくりに取り組むNPOです。

緊急支援から復興支援へ

震災後、すぐに緊急支援を行なったナイン・タウン。南三陸町は甚大な被害に見舞われながら、地域によっては物資の供給が遅れたり、情報が行き届いていなかったりと混乱していたといいます。ナイン・タウンが緊急支援を通じて切実に感じたのが一時的な支援ではなく、生活再建に向けた経済活動、生産活動へのきっかけづくりです。そこで真っ先に取り組んだのが、南三陸町の食文化の再建です。



自家製味噌を通じた仲間づくり

沿岸の漁師家庭では一人年間10kgもの味噌の消費があります。震災前はJAの施設を使用し、各家庭で自家製味噌を作っていました。ところが、東日本大震災において、自宅保存の味噌樽もJAも施設ごと流されてしまった同地区。再開の見通しは無く、何年も自家製味噌が食べられないことに。不自由な生活を余儀なくされる被災者にとって、家庭の味を取り戻すことは急務でした。ナイン・タウンはいち早くこの問題に着手したのです。

自家製味噌を作る様子

NGOの協力を得て、2012年4月にはJPF(ジャパンプラットフォーム)の資金提供で「石泉ふれあい味噌工房」を開設。開始後3ヵ月で176世帯、12トンもの味噌を製造することに成功します。食べ慣れた味噌の味を取り戻すことで、支援物資だけに頼らず、自立への思いが強くなった被災者のみなさん。支援は地域資源を活かす産直の設置へと動き出します。

自家製味噌を作る様子

地域資源を活かす産直の開設

震災後、移住などによってコミュニティは崩れ、仮設住宅への入居や他地域への移住によってバラバラに。復興には住民主体の自立型地域コミュニティが必要と考え、直売所「みなさん館」をオープン。ナイン・タウンは、「みなさん館」を運営する南三陸町のNPO法人の設立をサポートしました。これによって、収入源の確保、雇用の創出に加え、地産地消、産地直送といった地域循環型経済の仕組み運用をスタートします。直売所では南三陸町の人々が中心となり、地場の農産物や海産物、味噌やお惣菜などを販売。2012年10月のオープン以来、地域の憩いの場としてはもちろん、まちづくり再生のシンボル的存在になっています。このプロジェクトは「人材育成と交流の場づくりによる地域協働の復興まちづくりプロジェクト」として復興庁から「心の復興」事業に採択され、取り組んでいます。

みなさん館

人材育成とニーズマッチングによる被災者支援仕組みづくり


料理教室に参加した移住者との交流

料理教室に参加した移住者との交流

登米市には被災地から移住した方が1,000人以上暮らしています。ナイン・タウンでは、集落支援員や公民館職員を生活支援コーディネーターとして育成するプログラムを実施。移住者のなかには新しい環境に馴染めず、孤立してしまう人も多く、地域の一員として分け隔てなく迎えいれることがとても重要です。

交流農園での親子きなこづくり

交流農園での親子きなこづくり

ナイン・タウンでは、支援は与えるものでも、与えられるものでもないと考え、地域課題としてコミュニティ全体で取組む意識改革をセミナーを通して行なっています。
セミナーでは、行動計画づくりをはじめ、地域ニーズの掘り起こしを話し合いによって決定しています。移住者が抱えている問題はワークショップや懇談会で解決しています。


特定非営利活動法人 故郷まちづくりナイン・タウン


〈名前の由来〉
登米市は、2005年4月に近接する9町が合併して誕生しましたが、地域は少子高齢化が進み、まちづくりに必要なマンパワーが不足しがちです。 そのため、9つの旧町域がそれぞれ持つ良さを伸ばし、足りない部分を補うことを目指し、「ナイン・タウン」は設立されました。

ナイン・タウンのシンボルマーク

◆旅行者の“東北への集客”を目指す旅館予約サイト『TOHOKURO(東北路)』を開設しました


復興庁では、東北への外国人旅行者の誘客につながる民間の新たなチャレンジを支援する 「新しい東北」交流拡大モデル事業を推進していますが、その一環として東北専門の旅館予約サイト 『TOHOKURO(東北路)』を12 月 1 日(木)に開設しました。
九州の旅館予約サイトとして既に実績を上げている『KYUSHURO(九州路)』の約3万人の顧客ネットワーク等を活用し、東北の豊富な温泉地を紹介していきます。
本事業を通じ、東北の豊かな温泉の魅力が伝わることで、海外市場における風評被害の払拭や、誘客の拡大につなげ、今後本事業で構築したモデルを他国にも展開し、更なる東北地域の交流人口の拡大を図ります。

みんなの未来をつくろうニュース

Vol.6|みやぎの未来をつくろうニュース|Vol.8