Hand in Handreport.66

風評の払拭にむけて実際に現地に訪れて見たこと聞いたことを、分かりやすく伝えるレポートです。

インタビュー2023.11.24

双葉町民思い出のサンドと共に、憩いの店を復活した山本敦子さん

山本敦子さんとタレントのユージさんの集合写真

真新しい建物が印象的なJR双葉駅。駅舎から一歩出ると、屋根にブルーシートが張られた家屋や、震災後に復興を願って描かれたという巨大なウォールアートが目を引きます。その駅前で、町民から愛されていたファストフード店がありました。その名も「ペンギン」。双葉町民の“思い出の味”を復活させようと、2020年、双葉町産業交流センターで再オープンしました。

どのような思いでお店を復活させたのか、そして変わりゆく双葉町と共に歩む「ペンギン」の今の願いとは一体何か。マネージャーとして店頭に立つ山本敦子さんに、タレントのユージさんがお話を伺いました。

JR双葉駅前の現在の様子
JR双葉駅前の現在の様子

ペンギンは1982年、家業として営んでいたガソリンスタンドの一角に、山本敦子さんの母・岑子(たかこ)さんがオープンしました。当初はソフトクリームやシャーベットなど冷たいものを販売していたため、「ペンギン」と名付けられました。岑子さんは「ペンギンのおばちゃん」、当時お店を手伝っていた敦子さんは「ペンギンのおねえちゃん」とそれぞれ呼ばれ、双葉高校の生徒や駅を利用する人たちから親しまれていました。

かつてのペンギンの外観写真
かつてのペンギンの外観

しかし、オープンしてから25年が経った2007年、周辺にコンビニエンスストアなどが進出し、次第にお客さんが減少。惜しまれつつも閉店しました。

その後の2011年、東日本大震災とそれに伴う福島第一原子力発電所の事故が発生。双葉町は全町避難になり、敦子さんはさいたまスーパーアリーナ(さいたま市)に設けられた避難所で過ごしました。眠れない日々が続いたといいます。その後、横浜に住んでいた弟の知成さんの元に移りました。

「ずっとここにいていいの?私」。避難中もずっと双葉町のことを考えていました。国道6号線が開通した話や、友人がいわき市に移り住んだという話を聞き、県外に居続けることに、どこか焦る気持ちがあったそうです。

そんな中、2017年に実家のガソリンスタンドが再開。知成さんと敦子さんの夫が一緒に跡を継ぐことになり、いわき市に住むことになりました。ある日のことです。知成さんが双葉町産業交流センターのフードコートのテナントとして、地元の飲食店を募集しているという話を聞きつけました。「それならペンギンを復活させよう!」

双葉町産業交流センターの外観写真

敦子さんはペンギンの閉店後、再開を考えてもいなかったそうです。それでも、かつての賑わいを思い出し、「後ろを振り返っても誰もいない、私がやるしかない」と、決意を固めました。「地元の方が帰ってきた時に双葉の話ができるのは地元にいた私なので、そういう懐かしい話が大事なんじゃないかなと思った」と振り返ります。

再スタートを切ったのは2020年。敦子さんはペンギンで店番を手伝っていた頃の記憶を辿りながら、メニューを開発しました。

双葉町産業交流センターのフードコートのテナントとして復活したペンギンの様子

一番の人気メニューは、スペシャルサンドです。元々は部活帰りの高校生がお腹いっぱいになるようにと考案されました。「ビーフ」「フィッシュ」「カツ」「テリヤキチキン」と4種類の味があり、ユージさんは「カツ」(税込み650円)を試食しました。

スペシャルサンドカツの美味しそうな写真

分厚いパンに大きなサックサクのトンカツが挟まれた一品。ボリューミーでありながら、飽きのこない味が特長です。ユージさんは「普通のカツサンドだとカツにソースがかかっているから、キャベツにソースはかけないことが多いのに、これはキャベツにカツとは違うソースがかかっていて、こだわりを感じます」と話していました。キャベツも味わってもらおうと、敦子さんが試行錯誤して開発したマヨネーズベースの特製ソースがかかっているのです。具がこぼれてしまわないよう、2枚のパンでなく1枚のパンに切り込みをいれて具を挟んでいることが、ペンギンの変わらないこだわりです。

日替わり弁当にも力を入れています。「今は工事現場や工場で働いている人がよく食べにくるので、パンだけだとお腹が空いてしまうかなと思って昨年から始めました。毎日同じ人が『お母さん今日のお昼ご飯は何?』と聞いてくれるようになりました」。復興に携わる人たちのエネルギー源として定着しつつあります。

賑わいを見せるペンギンの様子

敦子さんが思うペンギンの1番の魅力は、”双葉町ならではのコミュニティ”だといいます。

「かつて双葉駅前にあったペンギンに通っていた高校生たちが、大人になって、現場で復興に関わって再び足を運んでくれることもあります。避難先からお墓参りのために帰ってきた人や、元双葉町民で、遊びに来ている人たちもいます。『ペンギンのおばちゃんに話し方やシルエットが似てきたね』と言われることが多くなってきました。『どーもー、ひさしぶりだしたあ。元気だったかあ』とちょっと訛った双葉の言葉で話していると、懐かしさを感じます」。敦子さんは、昭和から平成、令和になっても、震災で町が変わっても、ペンギンはいつまでも双葉の人たちにとって、”帰る場所”でありつづけたいと願っています。

『新生・双葉』としての想いを語る山本敦子さん

最後に、敦子さんの今の願いを聞いてみました。

「新しい町づくりということで、新しく入ってくる人もいれば、もともと仕事をしている人もいます。お互いに持っている知識をミックスして、古いものも大切にしながら、うまく融合して新しい提案ができていけたらいいなと思います。『新生・双葉』として、大きくはなれなくても、少しずつ、何か変わっていけばいいなと思います」

ペンギンはかつてのように、双葉の人々と共に歩んでいくのです。

PRESENT

2023年11月24日(金)放送分のプレゼントは、震災前から双葉町民に愛され、現在はいわき市内やオンラインで製造販売を続ける洋菓子店「ふたば茶亭」の看板商品「プレミアムマカロン」(10個入り)です。3名様にプレゼントします。
天然素材にこだわった優しい甘さで、色とりどりの宝石箱のようなマカロン。おまかせで10種各1個ずつ入ったギフトボックスでお届けします。

このページのトップにあるダイジェスト動画の中で、レポーターのユージさんが取材の感想として語った言葉が応募キーワードです。動画を視聴して、番組ホームページのメールフォームからご応募ください。

本商品は、TOKYO FMで放送中の「Hand in Hand」内で応募プレゼントとして紹介されているものです。
本サイトからの応募はできませんので、希望される方はこちらよりご応募ください。
なお、応募締切は 2023年12月1日(金)となります。

ラジオ放送情報

「Hand in Hand」は、平日朝6時から生放送でお届けするラジオ番組「ONE MORNING」内で毎週金曜の朝8時10分ごろに放送。TOKYO FM/JFN36局ネットにてお聴きいただけます。番組を聴き逃した方は、ラジオ番組を無料で聴くことができるアプリ「radiko」のタイムフリーでお楽しみください。
※タイムフリーは、過去1週間以内に放送された番組を後から聴くことのできる機能です。

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