親潮と黒潮がぶつかり合う福島県沖の潮目の海。
その豊かな海で水揚げされた魚は、築地市場で「常磐もの」と呼ばれ高い評価を受けていました。
しかし、東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、「スーパー等で売られている福島県産の魚は危険」
という根拠ないうわさが流れて買うことをためらう人もいます。
そこで今回、福島の海の魅力や「常磐もの」のおいしさを知ってもらい、
その安全性についても実感してもらうため、親子で学び、
試食や放射性物質の測定を体験するイベントが催されました。
釣りの基礎中の基礎!
「仕掛け」を作ろう
3月18日の朝、12組の親子が久之浜公民館に集合しました。当日はあいにくの雨で釣りはできませんでしたが、釣りの基礎である「仕掛け」について学ぶことに。仕掛けとは、魚の特性に合わせて準備する釣り道具全般のことを指し、釣り針や糸、オモリやウキなどを組み合わせて作るものです。
教えてもらったのは、釣り糸を仕掛けに接続する「チチワ結び」と、釣り糸と金具、針などを接続するために幅広く利用できる「ユニノット」。細い釣り糸を慣れない方法で結ぶのは思ったよりも大変!しかし、釣りの専門家である講師の皆さんが「これを覚えれば、いろんな釣りに活かせるよ」と励ましながら丁寧に教えてくれたおかげで、みんなやりとげることができました。
MCを務めた釣りガールの
晴山由梨さんも参加者をサポート!
釣り糸をしっかり結んで
丈夫な仕掛けを作ろう!
測定を体験して
魚の安全性を実感!
続いて行ったのは、福島の海で取れた魚に含まれている放射性物質量の測定です。講師を務めてくれたのは、水族館「アクアマリンふくしま」の獣医師である富原聖一さん。富原さんは、福島の海に住む魚の種類などを楽しく解説してくれました。さらに、いわき市職員の作田さん、放射線測定装置メーカーの永野さんからは、福島県が毎週実施している公的検査や、漁協が水揚げ日ごとに各市場で実施している自主検査について説明を受けました。
そして、実際に福島で釣れたメバルの身を検査したところ、結果は不検出で、国が定める基準値の100ベクレルを大きく下回りました。最後に富原さんは、「このように、基準値を超える放射性物質が検出される魚は、福島ではほぼ見られなくなっています」とお話ししてくれました。
これが放射性物質を検出する測定器!
鉛で出来ていて800kgもあるんだ!
講師はアクアマリンふくしまの獣医師
富原聖一さん
釣った魚をお寿司に!
お味はいかが?
最後は、お楽しみの試食タイム!講師の江戸前寿司職人・長谷文彦さんは、メバルを手際よく切り分け、お店で出すのと同じシャリ(酢飯)も人数分用意。そして参加者たちは、指導を受けながら自らの手で寿司を握りました。
「シャリを手に取りお刺身を乗せて握れば完成」と思いきや、実際にやってみると、シャリが崩れてバラバラになってしまった子も少なくありません。手の温度や握る強さの微妙な違いで形や味が大きく変わってしまうほど、お寿司作りは繊細な作業なのです。しかし、新鮮な魚をお刺身にして作ったお寿司の味は、もちろん格別。「とってもおいしい!」と、みんな笑顔になりました。
初めて自分で握った
お寿司だよ!
江戸前寿司職人の長谷文彦さんが
子どもたちに伝授!
専門家よりメッセージ
筑波大学五十嵐泰正先生
今回の発見や感動を
身の周りの人たちに伝えてほしい
「福島で取れた魚の安全性を確かめて、食べる」という体験を通じて、たくさんの子どもたちが福島への興味を持ち、楽しみながら学んでくれたことをうれしく思います。
今回知って驚いたことや、「なるほど!」と納得したことは、お友だちや周囲の大人たちにどんどん伝えてください。
そんな皆さんの声が、福島にとって心強いエールになります。
参加者の声
すばらしい海の幸を
みんなも食べてみて!
小学5年生大里 真央さん
放射性物質の測定などを体験して、原発事故以降の福島のことをたくさん知れました。帰ったら友だちに福島の食べ物のおいしさを伝えたいです。
イベントの概要
豊かな常盤の海で春告魚メバルを釣って食べよう!in いわき
開催日時
2023年3月18日(土)
午前の部:仕掛けの作り方教室
午後の部:放射性物質の測定会、福島の海についての講座、江戸前寿司教室、実食会
開催場所
久之浜公民館
主催/復興庁協力/株式会社つり人社
観光情報
船を借りて海釣りを楽しもう!釣り船
いわき沖は、親潮と黒潮が交わる「潮目の海」とも呼ばれ、
年間を通じて様々な魚がとれるスポットとして知られています。
釣り好きにはたまらない絶好の漁場に、ぜひ訪れてみてください。
ハイテク遊漁船 及川丸 http://www6.plala.or.jp/oikawazousenn/tsuri/
親子で丸一日楽しめる水族館!アクアマリンふくしま(公益財団法人ふくしま海洋科学館)
東北最大級の体験型水族館。マイワシの大群や巨大なトド、
カラフルな熱帯魚など約800種類もの生き物を展示しています。
裸足で入り、生き物と触れ合える世界最大級のタッチプール
「蛇の目ビーチ」など子どもが喜ぶ体験も充実しています。
https://www.aquamarine.or.jp/
福島の海の幸を、思う存分味わえる!いわき・ら・ら・ミュウ
「いわきのいいものぜんぶある。」がキャッチフレーズの観光物産センター。
新鮮な旬の魚介類を豊富に取りそろえた、活気のある海鮮市場を巡ったり
その場で焼き上げる浜焼きや、分厚いネタの海鮮丼も味わえたりと
福島の海の幸を楽しみたい方必見の施設です。
http://www.lalamew.jp/
福島の海が大好きに!
次は釣りをしに来たいな
小学5年生長谷川 廉さん
工作が好きなので、仕掛け作りはとても楽しかったです。いろいろなお魚のことも知れたので、次に来る時は福島の海で釣りをしたいと思います。