Hand to Hand レポート 福島県、ラジエーション・ワークショップ

Hand in Handレポート「福島県、ラジエーション・ワークショップ」

全国各地の災害被災地の現状と、復興へ力を尽くす人たちの姿を通じて、防災減災の教訓を伝えていく、さらにその地域の魅力を伝え、復興の応援につなげていくプログラム「Hand in Hand」。

今回は9月2日から4日までの3日間、福島県双葉郡楢葉町と広野町にまたがるサッカーの聖地で、今年4月に全面復活を遂げた「Jヴィレッジ」を舞台に、全国から22名の大学生を集めて開催された放射線教材作成のためのワークショップ、「ラジエーション・ワークショップ」の模様をお届けします。

今回のワークショップは、「放射線についての知識を、小中学生が学ぶための教材を開発する」をキーワードに人々の暮らしに密接に関わる放射線を理解し、どう向き合っていくか、またそれを次世代にどう伝えるか、そして、着実に復興が進む福島の過去と現在を知るために、日本全国で放射線について学ぶ大学生・大学院生を対象に3日間開催しました。

いったいどんな内容だったのでしょうか?このワークショップのアドバイザーで、放射線防護学の専門家、帝京大学教授・大谷浩樹先生にお話を伺いました。

今回のラジエーション・ワークショップの内容は?
  • このラジエーション・ワークショップは、小中高校生にいかに放射線のことを楽しく伝えるかを目的としている。大人が教える感覚とは違ったものを得たいと考える。全国から放射線を学ぶ大学生を募って、自由な発想で放射線に関する教材を作っていこうと開催している。
  • なぜ放射線を学ばなければいけないか。まず身近にある放射線を知って、偏見や誤解を解消する。福島県だけでなく、全国で教育をすることで、誤解偏見をなくすことができる。また、放射線を知ることによって子どもたちが国際的に日本のことをしっかり話すことができる。

1日目は大谷先生から、先生が小学校で実際に行っている放射線の出前講座の内容を紹介し、伝えるべき放射線の基礎事項や子供へのわかりやすい伝え方について講義されました。また、東京慈恵会医科大学の越智小枝先生からは、「福島の現実とリスクコミュニケーション」と題し、福島における放射線リスクコミュニケーションの実情を紹介しながら、リスクコミュニケーションの困難な点について紹介されました。

2日目は、実地体験として福島県三春町にある「コミュタン福島」を訪問。東京電力福島第一原発事故に至る経緯の映像や発電所の模型などで事故について学ぶとともに、最新のデータで放射線を巡る福島の現状を知りました。さらに、放射線のことを学べる様々なゲームを体験したり、360度全球型のシアターで福島の環境や未来についての映像を体験しました。また、福島県教育庁義務教育課 主任指導主事阿部洋己先生での福島の放射線教育現場の講義も行われ、参加した学生たちは、教材のアイディアをどんどん膨らませていきました。

そして最終日に学生たちが取り組んだのが、「子どもたちが放射線について学ぶための新しい教材づくり」のアイディア出しとプレゼンテーションです。学生から出たアイディアの一部をご紹介しますと…

「ウノに近いカードゲームを考えた。自分の手札を増やすと放射線を出したり防護したりする仕組み。今は、ルールが複雑すぎて、逆に理解してもらいづらいかもしれないが、もっとわかりやすく工夫し、かつ放射線のことがわかるようにしたい。」

「引っ張ったりして図柄を変化させ、どんどん読み進めていける動く絵本のようなものを考えている。対象は小学校高学年で、先生からの授業だけでは飽きてしまう。クイズも含んでいる動く絵本なら、クイズの答え合わせもすることで、自然と理解力も高められるかなと思う。」

大学生から出されたアイディアに対して、大谷先生は「大人の我々が気付かないような視点やユニークなアイディアがどんどんでてきたので、楽しく聞くことができた」と語りました。今回出されたアイディアの一部は、来年の3月の「放射線教材コンテスト」に提出されるなど、今後、企業などの協力も得て、製品化・教材化につながる可能性もあります。

また、実地体験では、東京と長崎から参加した学生に個人線量計(外部から受ける放射線量を測る測定器)が事前に配布され、学生が住んでいる場所と福島県滞在時の個人線量を測定。学生が住んでいる場所と福島県内の放射線量に変わりがないこと、飛行機に乗っている最中は放射線値が増加することを数値でも確認しました。

学生チームによるプレゼンテーション企画書と、東京と長崎から参加した大学生のワークショップ前・中5日間の個人線量計データは(https://www.discoverychannel.jp/campaign/radiation-workshop/)でご覧になれます。
この取材を収録した「Hand in Hand」は11月2日朝8時からTOKYO FMでオンエアされました。またオンエア後の放送内容は(http://www.tfm.co.jp/hand)でご覧になれます。

アイデアソン当日や福島の様子を取材した番組「福島スタートライン」は​(https://www.discoverychannel.jp/campaign/radiation-workshop/)よりご覧ください。