Hand in Handレポート「野球でふくしまを応援!~『プロ野球OBフェスタ in 福島』」

Hand in Handレポート「野球でふくしまを応援!~『プロ野球OBフェスタ in 福島』」

全国各地の災害被災地の「今」と、その土地に暮らす人たちの取り組みや、地域の魅力をお伝えしていくプログラム、「Hand in Hand」。

今回は、7月23日に、「福島県営あづま球場」で行われた 「プロ野球OBフェスタ in 福島」についてレポートします。

絶好調男・中畑清が福島の復興についてアツく語る!!
[FMラジオ番組「Hand in Hand」取材動画]

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https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg21096.html

東京五輪の聖火リレーの出発地点であるJヴィレッジなど、スポーツ施設や合宿施設が多い福島県は、もともととてもスポーツが盛んな地域。今回取り上げる野球についても、震災以降、復興支援として数多くのプロ野球選手が福島を訪れ、小・中学生を指導するなど交流を重ねてきました。

現在、福島にも新型コロナウイルス感染拡大の影響が影を落としていますが、元プロ野球の名選手たちが、野球を通じて福島の子供たちを元気づけようと開催した企画が「プロ野球OBフェスタ in 福島」です。

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2020年7月22日、本来であれば、東京オリンピック・パラリンピック競技大会は福島で開催されるソフトボール競技から幕が上がることから、今回の企画を主催したプロ野球OBクラブでは、OB16名による五輪開催1か月前イベントを福島市で実施し、五輪の開幕を側面から盛り上げる予定でした。ところが、新型コロナウイルスの影響で東京五輪は1年間の延期が決定。企画していた1か月前イベントも中止となりました。

そこで、「2021年7月23日に東京五輪はやって来る。前へ進まなければならない」との考えから、1か月前イベントを改め、『1年前イベント』として「プロ野球OBフェスタ in 福島」が再企画されました。イベントは、マスクやマウスシールドを装着、消毒やソーシャルディスタンスといった、新型コロナウイルス感染防止対策を徹底しながら、五輪会場となる「福島県営あづま球場」で行われました。

会場となったあづま球場では、東日本大震災の発災以降、放射線測定を定期的に実施しており、その数値を球場のホームページで情報公開するなど、球場の使用者に安心してもらえる対策も徹底しています。

「プロ野球OBフェスタ in 福島」は、新型コロナウイルス感染防止対策を徹底するため、参加人数を大幅に縮小して開催し、福島県内の小中学生8チーム119名が参加。密にならないよう複数の少人数グループに分かれて、プロ野球OB選手の指導を受けました。

参加したプロ野球OB選手は、巨人で活躍し、横浜DeNA監督も務めた福島県矢吹町出身の中畑清(なかはたきよし)さん、元ロッテの里崎智也(さとざきともや)さん、元阪神の代打の神様・八木裕(やぎひろし)さん、元ヤクルトの“ギャオス”内藤尚行(ないとうなおゆき)さんなど、総勢17名。

午前には、プロ野球OB選手の指導による野球教室、午後には、プロ野球OBチームと県内の社会人選抜チームとの親善試合が行われました。野球教室では、誰よりも大きな声で熱血指導をされ、親善試合にも出場した中畑清さんに、試合開始前にお話を伺いました。

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● 中畑清さんのお話
  • まずは福島県矢吹町出身ということで、安積商業高校出身ということですけれども、野球選手としての中畑さんの素養というのは、この福島で培われたと思っていらっしゃいますか?

    当然ですよ。基本を身につけたというかな。人間関係を含めてだけれども。高校までは安積商業で。監督がとにかく甲子園出場を目標に真剣にこの田舎で野球に取り組んでくれて。家族のように監督の家で合宿したり、そういう絆みたいなものを教えてくれた環境というのは、この福島に原点はありますよ。

  • 震災の後のお話をお伺いしたいんですが、原発事故の影響などもありまして、一時は福島県内で子供たちが外でスポーツができないという環境も続いていたんですけれども、その当時中畑さんはそういったことをどう思われていましたか?

    とにかく戻ってもらいたい、子どもたちと一緒に大会も含めてね。矢吹町だけで県内の大会をやっているんで、子供たちのいわき地区とか浜通りの子どもたちが参加できないという状況に追いやられて、とにかく子供たちに戻ってもらいたいというのがあったので、宇都宮とか移転した子供たちの、ソフトボールを続けていた家族が避難した場所まで行って、野球道具を届けてあげて、とにかくそこにいてもいいからソフトボールを続けてくれとか、そういうことをしてずっとやり続けてきたんで、自分の大会も今年は中止になったけれども、もう36年かな。それで OBにプロ野球に入っている選手も出てきたので、すごくやりがいというのかな、続けていかなきゃいけない使命感というのはあるよね。子供たちが元気でなかったら駄目なんだよ。福島県全体の元気というのは、その原点になるのは子供たちの元気だから。それに少しでも野球という競技スポーツが携わって、輪を広げて行ってくれるような形になってくれたら嬉しいなと思うしね。だからオリンピックがこのあづま球場で開かれるといった時に、もう本当に感動したし、福島は安全安心ですよということを世界にアピールできるチャンスじゃない。それはもう本当に嬉しかったよね。

  • 1年間延期になってしまいましたけれども、この東京オリンピック、「復興五輪」と呼ばれていますけれども、来年に向けてその復興五輪についてどんな思いを持っていらっしゃいますか。

    これをきっかけに、とにかく風評被害とか福島県で忘れ去られていく部分が多分にあるよね。原発の問題というのは消えないので、それを振り払うだけのものを、パワーを、何とかこの復興五輪というチャンスをいただいたことによって、復活の本当に足がかりになってくれれば嬉しいなと思うので。今回コロナのも同じなんだけれども、風評被害ってそこだと思うんだよね。そこの環境をどう捉えるか。線量とかそういうのって目に見えないじゃない。そういうものに向かっていくタイミングって、人生の中で必ず出てくるんだよね。今まさしくその第二波が来ているにも関わらず、第二波を言えないという。なんでかと言うと生活ができないから。福島もずっと生活できなかったんだよ。その環境を乗り越えるためには、やっぱり立ち向かっていかなきゃいけないんだよね。だからそこの線引きって誰がするんだよと。俺達なんだよね。福島県民なんだよ。県民が立ち向かっていくという強い気持ちを持たないと、風評被害とか何とかとか全部跳ね除けることはできないので、俺達が元気でそこで食ってるんだもん、野菜作ってるんだもん、魚とってるんだもんと言う。そういうアピールの強さというものをしっかりもちながら、それで理解していただくと。それを忘れないでいきましょうよ。だって周りはもう忘れかかっているから。それをもう1回呼び起こしながら、大事な一歩を、大きな一歩を踏み出していくという、そういうきっかけにしたいなと思うのでね。だからぜひ常に福島県で絶好調でみんな元気だよという姿勢をもちながら、頑張っていって欲しいなと思います。下を向かない。それでは参ります。

    ♪上を向いて、歩こう

  • あ、歌っちゃうんですね(笑)あれを言ってくれると思ったのに(笑)

    じゃあ、一緒に行くか、せーの「絶好調!」

中畑選手もおっしゃっていましたが、福島県産の農産物の安全性は、検査によって保証されています。生産・流通・消費の各段階において放射性物質の検査が行われ、安全性が確認された農産物のみが出荷されています。近年は基準値(100ベクレル/kg)を超えるものはほとんどありません。
福島県による農林水産物の検査結果は、こちらからご覧いただけます。

一通り練習を終えたところで、イベントに参加したチームの中から、福島市の「福島リトルシニアチーム」、関川博已(せきかわひろみ)さん、いわき市の「いわきボーイズ」の高橋雅之(たかはしまさゆき)さん、「いわき平ボーイズ」の鈴木健佑(すずきけんすけ)さんにお話を伺いました。

福島県は震災や原発事故の影響でなかなか環境的に野球をすることが難しくなってしまった時期がありました。その時期はどんな事を考えていましたか?
高橋さんいわきボーイズはですね、震災後1ヶ月半2ヶ月近く活動ができずにいて、地元の高校のグラウンドを貸していただいて、最初の練習が4月の下旬頃だったですかね。ようやくやるようになりまして、本当に震災の後もう野球なんてできないんじゃないかなというような状況の中で、そういうふうに周りに支えられながら復活していて、その年2年ぶりに全国大会に夏出ることもできたんですね。本当に皆さんに支えられてやれたという記憶があります。
今日のOBフェスティバルについて、子供たちが実際、プロのOB選手たちから指導を受けている様子をどんな風にご覧になりましたか?
鈴木さんうちの子供たちはびっくりしてしまうような緊張もありました。十数名、20名近いOBの方々に来ていただきまして、一人対10人くらいの勘定でやっていただいているんですよね。とてもきめ細かい指導を今日はいただいております。だんだん話に引き込まれまして、目の輝きが全然違ってきていますね。とても嬉しいことです。
改めて今日のイベントが子供たちにとってどんなイベントになったと思われますか?
関川さん 今までなかなか暗いニュースばっかりで、野球を表立って楽しんでやるというのが難しかったんですけれども、このOBフェスティバルを機にもっと野球を楽しくやっていける機会になったんじゃないかなと思いますね。本当にきめ細かい指導を受けまして、子供たちの目つきも変わってきました。これからまだまだもっともっと野球にのめりこんでいくんじゃないかなと期待しています。今日教わったことを一つでも多く持ち帰ってですね、継続して練習できるようにアドバイスできたらなと思います。
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参加した子供たちからは、「元プロ野球選手というテレビで見ていた方々に教えてもらってとても光栄」、「こういうイベント自分は初めてだったんですけど、教えてもらっている時はすごく楽しかったですし、やっぱり初めてとなることもたくさん学べたので良かったと思います」、「今日教わったことをしっかり復習して、自分たちのこれからの練習につなげられるように頑張っていこうと思います」と今後野球を続けていくにあたって、「プロ野球OBフェスタ in 福島」が貴重な体験になったという前向きな感想が多く聞かれました。プロ野球OBクラブでは、今回の企画をスタート地点として、五輪開幕までの1年間、「復興五輪」気運の盛り上げと、未だに絶えない「風評被害」の払拭を目的に福島県で様々な事業を行っていく予定です。

当日の詳細は、公益社団法人 全国野球振興会 日本プロ野球OBクラブのオフィシャルサイトでもご覧いただけます。