汚染水対策の三つの方針で、二つ目の「汚染源を取り除く」でも触れましたが、ALPSでも除去できない放射性物質が「トリチウム」です。トリチウムという名前を聞いても、あまりなじみがなくどんな物質か見当がつかないと感じる方も多いかもしれません。
トリチウムは、日本語で「三重水素」と呼ばれる水素の仲間(同位体)です。水素と聞くと、原子核の陽子一つの周りを電子が回っている「軽水素」を想像される方が多いでしょう。水素の仲間には、原子核が陽子一つと中性子一つで構成される「重水素」、そして原子核が陽子一つと中性子二つで構成される「三重水素」の「トリチウム」があります。
トリチウムは、原子力発電所を運転することで発生しますが、自然界でも大気中の窒素や酸素と宇宙線が反応することで生成されています。水分子を構成する水素として存在するものが多いことから、トリチウムは大気中の水蒸気、雨水、海水だけでなく、水道水にも含まれています。

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世界中の数多くの原子力施設で実績があり、安全性に関する世界共通の考え方に基づいて実施されています。
放出する際には、世界共通の安全性に関する考え方に基づき、トリチウム濃度が規制基準を大幅に下回るよう、十分に希釈した上で実施します。実際に、トリチウムの放出は、世界31の国・地域の原子力施設で行われています。

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誤った情報に惑わされないために。誤った情報を広めて、苦しむ人を出さないために。

1トリチウム(三重水素)は身の回りにたくさんある。
トリチウムは水素のなかまなので、水と一体。
※1だから、雨水、海瑞、水道水などにはもちろん、私たちの身体の中にも存在します。
※1 )トリチウムの量 日本で1年間に降る雨: 220兆ベクレル、海水や水道水:0.1〜1ベクレル/リットル、人体:数十ベクレル
2トリチウムの健康への影響は心配ありません。※2
- ● 体内に入っても蓄積されず、水と一緒に排出されます。
- ● トリチウムから出る放射線はとても弱いので、皮膚も通れません。
- ● 放射線は細胞を傷つけますが、細胞には修復機能があります。

※2 )トリチウムなど放射性物質による発がんリスクが高まるのは、多くの放射線を浴びた場合とされています。
放出により人が受ける放射線の量は、自然界から受ける放射線の10万分の1です。3取り除けるものは徹底的に取り除き、 大幅に薄めてから海に流します。
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※3 )WHOによる飲料水基準(トリチウム):10,000ベクレル/リットル
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※4 )東京電力のシミュレーションによると、水道水のレベルを超えるところは、おおむね発電所近くの漁業制限区域に限られます。
※5 )東京電力福島第一原発で発生した汚水には、トリチウム以外に原発事故由来の放射性物質が含まれますが、
多核種除去設備等により世界共通の安全確保の考えに基づき設定している規制基準を満たすまで取り除きます。※6 ) 1年間のトリチウム放出量(液体)●東京電力福島第一原発(想定する最大値):22兆ベクレル/年を下回るレベル
● フランス ラ・アーグ再処理施設:11,400兆ベクレル/年(2018年)● 韓国 古里原発 約4倍:91兆ベクレル/年(2019年)
放出するALPS処理水は、
放射性物質の分析に専門性のある第三者機関の協力を得てしっかりと検査をし、 その結果を公表していきます。